自閉症成人施設で9年間働きました。
ある日、
特別支援学校の高等部3年生のお子さんを持つお母さんから、
『施設の実習で、自傷・他害のある人は、受け入れられません、と言われてしまいました』
ということを聞きました。
自立支援法以降、サービスを選べるようになりました。
同時に、自傷や他傷、強いこだわり、大声、パニック、その他問題行動がある場合、そのことを理由に、もしくは、表立ってそれを理由にしないけれども利用を断られてしまう、という状況にもなりました。この状況は、さらに進んでいます。
小さいうちから、衝動をコントロールでき、融通がきけるような人に育てなくては、将来、お子さんが行き場を失ってしまう…。
受け入れてもらえない、そう言われる、そうなるかも知れないと不安を抱えておられる親御さんの気持ちはどうなるのか…。
そう考えて、施設を辞め、療育活動をしています。
子どもの頃に、衝動をコントロールすることや、動きの改善、こだわりに融通をもてること、算数を身につけていれば、もっと生きやすく、不自由が少なく暮らせます。
今の子ども達が、大人になって、出来る限りしなくても済む苦労をしないように、生きがいを持って暮らせるようにしたい。
子どもの間に、大人になる前に、学ばせてあげたい、と考えています。
高等部を卒業した後、施設に通っておられる場合、通所後や週末は家で過ごす、ということが多いと思います。
通所後や週末の家での過ごし方に困難を抱え、悩んでおられる方々もおられることも知りました。
親と子の関係を改善していくこと、本人を変えていくことで、家庭生活が変わることを、僕自身と母親や家庭の方々が体験しています。
他には、こんなことも聞きました。
『児童発達支援や放課後等デイサービス、療育センターに通っているが変わらない』
『高機能・発達障害・自閉症スペクトラム・重度知的障害をあわせもつ自閉症である自分の子供に、どう向き合って、どう育てていけばいいのか、分からないと悩む』
『特別支援学校の中学校や高等部に入ったら、もしくは、卒業したら、崩れて状態が悪くなった』
『生活介護に通所しているがどんどん崩れてきている』
(パニック・こだわり・常同行動・自傷・他害・飛び出し・固まり・多動がひどくなった)
だから、
かくたつ播磨は、自傷や他害、問題行動、パニックなどがあっても、その理由では断りません。
そして、家庭での過ごし方を具体的に導いていくこと・行動を変えていくことが、どうしても必要だと考えています。
また、ご両親(母親)の不安や不満・希望として、
『「薬を増やすように」言われて増やしたのに、また、さらに増量になってしまった。今後どうなるのか不安…』
『施設や療育機関で「ここでは問題ありません」と言われるけど、家では全然違う!家での問題を解決したいのに…』
『今日は寝るのか、寝ないのか。少しでも音を立てたら、起きてしまう。ピリピリして神経が疲れる。寝ていても、ぐっすり眠れない』
『いつ何をするか、分からない。ずっと見ていなくてはならない。ドキドキする。ずっと見ているのに、アッと言う間に、物が壊れ、袋は破れる。』
『遊びばかりで、算数を教えてくれない』
『今、一番気になっているのは、衝動性の部分です。どこに行っても答えがなくて、答えなんてないのかもと思っていたところでした』
『力がだんだん強くなってきて、力では勝てなくなってきた』
『自分の体力は衰えていくのに、今度どうしたらいいのか不安』
『子供の行動が理解できない』
『関わり方が分からない、取り組み方が分からない』
『今、何をすべきで、本人とって何が良いことなのか分からない』
『仕事ができる人になってほしい』
『心を安定させる術をもってほしい』
というようなお話を聞かせていただきました。
思いや悩み、日々感じておられることなど、お話しをじっくりお聞かせ下さい。
その上で、上記のようなお悩みを、
「個別療育(運動・作業・算数、日常生活(食事など)での課題、自分ルールの整理・悩み解決)」
と
「随時のメール・電話相談」(「こんな時どうすればいいの!?」、「この問題を解決したいけど…」)
と
「ご本人とご家庭に合わせたオーダーメイドの方法を考え、実際に関わっていただきながら、ご本人との関わり方を、一緒につかんでいく」
これらを中心にして、解決します。
そうして、安心して親も子も暮らせるように支援します。
かくたつ播磨
店主・守本 悠哉 (社会福祉士)
所在地:兵庫県西宮市
E-mail:kakutatu.harima@icloud.com
(経歴)
・2014年3月、障害者支援施設・自閉症成人施設あかりの家を退職するまで、6年間支援員として、最後の3年間を主任支援員として、9年間勤務。
・2014年4月、かくたつ播磨を開業。
大学生のときに読んだ一文が忘れられません。
「たとえ一つ覚えでもいい、自分自身に確実に心の支えになるものを自分の努力で獲得したことがあるか」
(『美しい生き方に感動しよう』(著:鈴木健二)講談社+α文庫、p.82)
当時の僕は、「僕にはこれがない」と思いました。
そんな自分が好きになれず、自信がありませんでした。
大学生活で、クラブ活動に打ち込み、自信を獲得し、自分と和解しました。
その土台、機会、環境を作ってくれたのは親、親のおかけです。
そして、クラブを存続させてこられた先輩方のおかけです。
そこに出会えたのは幸運だったと思います。
僕も、自閉症児・者も同じ人間です。
「出来るようになったら嬉しいよ、自信がつくよ」
「心の支えになるものがないと、生きていくのはシンドイよ」
「努力して、何かが出来たという達成感は代えのきかない体験なんだ」
ということを伝えたいのです。
ほんのちょっとでもうまく行ったら、評価される。
すると、ちょっとだけ自信がつく。
その自信とうまく行った経験があれば、次のハードルも超えてみようと思える。
その繰り返しが、良い循環を生みます。
たとえ一つ覚えでもいい、自分自身に確実に心の支えになるものを自分の努力で獲得してほしいと思っています。
だから、何かが出来るようになる瞬間に出会えるのは、何より嬉しいことなのです。
「できた!」「わかった!」という「成功体験」「喜び」は、発達の最大の原動力・推進力です。
成功体験による自信は、親御さんとお子さんの間にもうまれます。
その自信が生活をはりあいのあるものにし、よい親子関係にしていきます。
何らかの発達につまづきがあると、分かりづらさがあったり、身体発達でクリアしていないところがあって、うまくできないことがあります。
試行錯誤しても、なかなか出来ないので、諦めそうになります。
だからこそ、何につまずいているのか、何を発達の中で抜かしてしまっているのかを分析して、乗り越えられるように、どれだけの工夫ができるかが大切です。
その工夫をお伝えしています。
→発達につまずきがある子の成功体験を支えたい(ブログへ移動)