「イヤ」なのでしょうか?
【思い込みではない仮説を立てて、検証する】
<例題>
Aくんは作業をしていました。
しかし、急に立ち上がりました。
その理由は何でしょうか?
原因は何でしょうか?
仮説を挙げましょう。
仮説は「少なくとも5つ」挙げましょう。
Aさんが、作業をしていました。しかし、少しして、急に立ち上がりました。
原因は何でしょうか?
仮説を挙げましょう。
仮説は「少なくとも5つ」挙げましょう。
【仮説】
1.やりたくないから
2.イライラしたから
3.ストレスがたまったから
【考察】
「やりたくない」という仮説は思い込みであり、そう見えるだけである。
「作業したいと思っているけど、立ち上がってしまった…それは…」という仮説も同じように思い込みであったとしても、同等に成り立つはずである。
どちらか一つだけを否定するのは客観的な観察ではない。
本人が理由を説明できなかったり、
説明したとしても、
口癖やオウム返しで「やりたくない」「イヤ」と発言したりする場合もある。
本人が本心から、その作業をやりたくないと思っている場合もあり得る。この場合は、何故そう思ってしまったのかを考える必要がある。
イライラ、ストレスも同じことが言える。
何にイライラした?
何にストレスを感じたのか?
【そもそも】
イライラしたら立っていいのだろうか?
ストレスを感じたら立ち上がっていいのだろうか?
「感じたことを訴えることが難しいから、立ち上がってしまうことを認めよう」というのは、『感じたことを訴えることが難しい』については理解するが、立ち上がってしまうことは初期的には認めても、別の方法で表現してもらう必要があるし、そこでのルールを守ることも求めていかなければならないし、忍耐強くなる練習も必要になる。
他にも仮説は立てられる。
認知の難しさによっては、
4.終わりが分からない
いつまで、どこまで、何回などが分からずに困ってしまい、立ち上がってしまったという仮説も立てられる。
5.自信がない
前回うまくいかなかったので、できる自信がないという仮説も立てられる。
6.正解が分からない
評価がないので、合っているのか合っていないのか分からずに困って、立ち上がってしまったという仮説も立てられる。
7.難しい
自信がないというよりは、単純に、それが難しくて困ってしまっているという仮説も立てられる。
8.達成感がない(つまらない)
簡単すぎるという場合もあり得る。
9.設定が分からない
どうしたらいいのか分からないということもあり得る。
10.何かの刺激が入って反射的に立ってしまった
という場合もあり得るし、
11.座った状態で、両足を引いてしまい、力が入ってしまったために、立ち上がってしまった
という場合もあるだろう。
そして、一度立ち上がってしまうと、直前の行動を繰り返してしまう「保続」により、立ち上がってしまうこともある。
他には、その人その人の個別的な理由として、
12.(座っていて)お尻が痛くなった
13.肩が凝った
14.頭が痛い
15.腰が痛い
16.ちょっと伸びをしたい
17.疲れた
18.トイレに行きたい
という場合もあり得る。
また、
19.ジッと座っていられない
その要因として、原始反射の統合や身体の土台の未発達も考えられる。
力みが強い場合は、弛める必要もある。
支援者側の刺激によって引き起こされる場合もある。
例えば、
20.何か伝えたことで、終わりだと勘違いさせてしまった
という場合がある。
具体的には、作業物を渡すのに「はい」と発した言葉を「はい、終わり」の「はい」と勘違いしてしまった、
とか、
「頑張ってますね」を「頑張ったね」と聞いてしまって終わりだと思って立ち上がってしまった
ということである。
【省みる】
ここで振り返って考えたいのは、
1.やりたくないから
2.イライラしたから
3.ストレスがたまったから
という仮説は、本人のせいにしている、という共通点である。
相手のせいにせず、
違う仮説を立てることができれば、
工夫がうまれる。
今までと違う工夫してみた、その結果どうだったのか、それをまた観察して、次に活かしていく。
・自分の考察は思い込みではないか?
・一方的な観方ではないか?
・他に仮説は立てられないか?
・自分の仮説は、相手のせいにして、自分がラクをすることになっていないか?
ということを考える必要がある。
【うまくいかないのは、ズレているからではないか】
相手は作業や勉強をしようと思っている
にも関わらず、
「したくないんですね」と伝えてしまう
そこにズレはないか?
ズレていたり、
しようと思っている、その思いを実現できるようなことを実践しない
そういう相手(支援者)が目の前にいたら、
どう思うでしょうか?
21.この人は分かってくれていないという思いから立ち上がってしまう
22.この人とだとうまく行かない、うまく続けられない
という仮説も成り立つはずである。
しかし、「介入しても立ち上がるし、座らせようとしても騒ぐから、やっぱりやりたくないんですよ」という反応に出会うことが多い。
失敗が続き、うまくいかないパターンが本人の中にあると、「本当は作業や勉強がしたいんだよね」と共感しても、本人はうまくいきそうにないと感じているのだから、「やりたくないんだ」と見えるような行動・言動ができてきて当然であるし、本当に「やりたくない」と思ってしまっていても当然なのである。
できたと感じられるように、成功体験になるようにするにはどうしたらいいのか。
仮説をもとに手立てを考えなければならない。
スモールステップで、短時間、数個でいいから、成功できるようにしなければならない。
短時間、数個で終わりということがパターンになってしまわないように、バージョンアップしなければならない。
適度に弛め、動きの土台を作る。
保続が起こらないようにし、うまく続けられるように支援する。
適切な休憩をはさみ、見通しを本人が分かるように立てる。
噛み合う支援をする。
そういう支援によって、
本人が「うまくいっているな」という感じが持て、自己評価(セルフエスティーム)と周りからの評価も上がる、それが目指すべきところである。
作業をする、勉強する、運動をする、何をするにも必要な視点である。