最初の関わりで信頼を得る
【感覚器官の発達させ、身体をうまく動かせるようになると落ち着きます】
あるお子さんに初めて関わりました。
まず、お子さんについてお話しを聞かせていただき、少し本人を見て、
「多動(多弁も含む)やなぁ」
と感じました。
刺激に振り回されているのだろうから、変に反応させない・過剰に反応しないようにしないといけないなと考えました。
あれしよう、これしようと言っても、言葉自体に反応してしまうのは目に見えていたので、声かけは最低限にしました。
あわてふためかないように、シミュレーションすることは必要ですが、想定した型にはめることが目的になってしまうと、本人を見れなくなってしまい失敗します。
シミュレーションしつつ、かつ、想定した型にはめようとするのではなく、本人の状態を見ながら付き合うことが必要です。
大事なのは、
・見逃さないこと
・引き出しを持っておいて、すぐ出せること
です。
引き出しに関しては、「個別的理解」と「類型的理解」がポイントです。
「あの人の声に弱い」というようなモノは、個別的理解です。
「こういう場合は、弛めから入った方が良いだろう」というようなモノは、類型的理解です。
仕事をする上で「個別的理解」と「類型的理解」の両方を深めていく必要があります。
新人時代は、とにかく見て・関わって・感じて、徹底的に個別的理解を深めていく時期です。
中堅以上になると、どういうところが共通していて(類型的理解)、どういうところがその子独特のものなのか(個別的理解)を仕分けしながら引き出しをたくさん作っていきます。そして、その人それぞれ・状況・状態に応じて、瞬時に必要なものを引き出して使えるようにしていく時期です。
関わる態度(構え)としては、「ブレない構え」が必要です。
もちろん新人時代には難しいですが、芝居でも表に出さないことは必要です。
怯えたり、怖がったりすると、本人も警戒したり、揺さぶられて落ち着きません。
しかし、怯えたり怖がったりすることは否定しません。
誰にでもあることです。
無理やり隠そうとせずに、怯えていることを自覚して、時には相手に正直に感じたことを伝えながら、そういう感じを抱かずに関わっていきたいということを、言葉や身体を通して伝えていくことが必要です。
実際の関わりに話を戻します。
多動だから、疲れているだろうし、ちょっとしたことですぐに乱れてしまうだろう、そんなに簡単には進まないだろう、と想定して関わりました。
ですので、乱れてきってしまう前に、先手でメンテナンスして失敗させないように、細心の注意で観察しつつ、関わり続けていくことが必要でした。
そして、実践。
背骨弛め、横揺れと縦揺れを試してみて、縦揺れが本人に合っていそうだったので、縦揺れから入って…
こうして…
こうして…
次は、こうして…
5~10分ほどの関わりでしたが、信頼してもらえたようでした。
課題にも取り組めました。
関わって、感じて、考えたのは、
・刺激の受け取りの調整がうまくいってない
・一見、「歩く」「走る」はできているように見えるけれど、
首の育ちはどうか
三半規管や足首の育ちはどうか
前後の不随意運動、左右の不随意運動の統合は進んでいるか
・「叫ぶ」「投げる」「蹴る」「叩く」も、身体の土台が育っていないことからきているだろう
・自分で自分の動きをコントロール(調節)することもまだ難しいだろう
・本人もどうしていいか分からないし、気がついたら投げていた、とか、口が勝手に動いて言ってしまったというショックを抱えている可能性がある
ということを考えました。
細かくアセスメントして、引っかかっている部分、やり残している部分を見極めて、支援していく必要があります。
この子はもっともっと落ち着いた状態で過ごせるようになります。
そうなってほしいと強く思います。
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どういうところを見る(見た)のか
何をする(した)のか
次はどういう支援が必要か
個別療育や職員研修で伝えてさせていただいています。