『感覚と運動の高次化からみた子ども理解』(2)

ジッとすることの大切さ

ソーシャルスキルの基礎としての運動

 『感覚と運動の高次化からみた子ども理解』宇佐川浩

p.21

「動きを止めて姿勢を保つ」という行動は障害児にとって予想以上に難しいが、ある意味で外界に向かう姿勢はそこからはじまるといっても過言ではない。また運動機能のつまずきは、目と手の繋がりにくくさせ、協調運動も育ちにくい。これを単純に運動機能の障害として押さえるだけでは不十分である。つまり運動調節のしにくさは、外界に向かおうとする心理的な意味合いで、「調節された姿勢」もつくりにくいということに他ならないからである。したがって、対物・対人的な認知の基礎を支える発達も、この「運動調節」が係わっていることを承知しておかなければならない。よくいわれる「グニャグニャしている」とか低緊張の状態は本来的に運動としての姿勢の問題であるが、同時にそれは外に向かおうとする心理的姿勢も形成しにくいことを意味している。

 

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「ジッとする」というのは、ただ止まっている、固まっている、というのではありません。

じっとすることは、その状態を維持すること、自分の動きをコントロールすることなのです。

 

つまり、「動くこと」だけではなく、「動かないこと」も重要な運動です。

そして、「動かないこと」から「調節して動くこと」への練習も必要になります。

 

なぜなら、少しジッとできた、でも、動き出したら走ってしまう、というのでは、集団活動がままなりません。

ジッとできる、座っておけるようになっておかないと、学習できません。

学びたいのに学べない、それは損ですし、子ども自身も苦しいのです。

人と関わりたいのに走ってしまう、それを「この子は走るのが好きだから」と思われてしまっては、孤独です。

 

楽しめる、学べる、働ける身体を育ててあげたいと考えます。


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