強度行動障害を改善するために 当たり前の生活「日常生活行動」

知識だけのSSTは使えない

【ソーシャルスキルより生活に対する構え

・当たり前の生活「食べる・寝る・排泄する」へ

 

苦しんでいるのであれば、少しでも楽にしてあげたい

不自由なのであれば、少しでも自由に動けるようにしてあげたい

不便なのであれば、少しでも解決できたらいい

不健康なのであれば、少しでも健康的になってほしい

 

そう思っている。

治ればいいなと思う。

 

自由に、健康的に、張り合いをもって、生きてほしいと思っている。

そういうふうに生きていくためには、「具体的な日常生活行動」が出来ている必要がある。

これは障害の有無に関係がない。

どうしても難しい場合があっても、それぞれが出来る範囲でやれているという実感がなければ、自信を持って生きていくのは難しい。

 

三木安正は、“具体的な生活行動”ができるかどうかが問題であるとした。

 

・生活に関する知識

生活に関する「知識」を持つだけでは、現実生活では役に立たない。

障害が有っても無くても、「知識」だけでは生きていけない。

SSTがそういうものになっていないかどうか考えなければならない。

 

・生活に関する技能

生活に関する「技能をもつ」こと

と、

「具体的な生活行動ができること」

ということの違いは何だろうか。

 

技能というのは、

 お店ごっこをして、ニセモノのお金を使って(ホンモノのお金でもよいけれど)、買い物をする

とか、

 小皿に入れた数十個の豆を、箸で、隣の空いた器に、落とさず移す

ということと思う。

 

具体的な生活行動というのは、

 何を買うか計画し、メモし、メモを見て買い、足りていないか再確認し、イライラせずに列に並び、必要なお金を出して、お釣りを丁寧に受け取り、袋に詰めて、カゴを返す

とか、

 マナーよく箸を運び、適切な量、適切な早さで食べていき、大声など出さないで、食べられる、

というような行動である。

 

豆が上手に移せる、箸が上手に扱えるのは良いことだが、それだけでは生きる力がついたとは言えない、具体的な生活行動が成長したとは言えない。

食事を目の前にしたり、ファミレスなどに外食に行ったり、スーパーやコンビニに入ったりするだけで不安定になっていたら、生きる力がついているとは言えない。

 

具体的な生活行動ができているから、不安定にならなくて済む。

生活行動ができて、生活に対する“構え”ができてくる。

そうすれば、いい人間関係、「いい感じだね」「ありがとう」と言われる付き合いが増える。

そうすれば、社会に必要とされ、居場所を持てる。

こういうことが「行動障害の改善され、張り合いのある生活を送る」ということである。

 

「構えがある」ということは、自信があるということ、と言える。

突然、避難所で生活しなければならなくなっても、お風呂が壊れても、不安定にならずに行動できるというのも、「構えがある」ということである。

 

この「構え」が、「生活行動の中核」にある。

知識や技能だけでは、中身がない生活になる。

知識と技能を駆使して、現実の生活を行動して作っていかなければならない。

 

知識と技能を使って、できることをしている。

だとしても、いつも同じ物しか買わない、誰とも一緒に食べられない、同じ洗い方しかしない、そういうことに関して誰の話も聞かない、合わせられない、というのも、具体的な生活行動がとれているとは言えない。

充実した生活とは言えない。

 

行動障害とか問題行動というのも、結局のところ、食べる、寝る、排泄に始まり、移動する、運動する、勉強や課題をする、手伝う、働く、その中で、待つ、合わせる、聞くなどの具体的な日常の生活行動がうまくできていないということ。

こうした行動を一つ一つ身につけ、それに磨きをかけて洗練した動きができるようにしていく。

つまり、それは、マナーがいいとか、礼儀がいい、という行動である。

「型」を知っているだけではダメで、「型」が自然と実行できていることが必要である。

その中からこそ、生活に対する構えができてくるのである。

 

人間の幸せは、具体的な生活行動ができるということに支えられている。

当たり前のことなのであるが、自閉症の部分だけを見ていると忘れがちである。

自閉症だろうと、発達障害だろうと、同じ人間である。 


かくたつ播磨

店主・守本 悠哉(社会福祉士・公認心理師)

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