自閉症の人が与えてくれた宿題 7.「自閉症特有の行動」「自閉症だから」「自閉症らしい」という言葉を使ってしまうことの弊害(2)の補足.1

価値観の見直し

【経験してもらうこと大事さ】

 「自閉症の人がしている行動は、自閉症らしいものであるから、仕方がない」になりやすい背景を考える。
 一つは、
「自分らしいは『良い』」
「自分らしいをやめさせるのは『悪い』
 という価値観だと考える。
 「自閉症の人はしたくて、それをしているのだから、やめさせる必要はない」
 というのも根っこは似ていると考えている。

 自分らしいは良いと決めてしまうと、「したくてしている」以外の要因を考えられない。
 やっていることに「良い点」と「悪い点」があるという自覚をする。
 やっていることが「絶対」と思ってしまうのは危ない。

 「絶対」になってしまうと、
 より良い方法への工夫、違う方法を取る発想がなくなってしまう。
 「絶対」になってしまうと、
 方法は正しいのだから、上手くいかないのは相手のせい、になり、子どもそれぞれに方法を合わせていくのではなく方法に子どもを合わせてしまう。
 ただし、「これはしてはいけない」というのはある。
 どう考え、どう対応するかは、支援者に委ねられる部分が大きい。
 自閉症の人の行動をどう捉えて、どう支援するか。
 その判断と選択は、自閉症の人の人生を左右する重要なものである。
 それなのに、利用者は多くの場合、支援者を選べない。
 僕自身も工夫がないのはいけない。
 今でも、良い方法をずっと考えているし、勉強している。
 「これしかない」とは思っていない。
 「これしかない」というような方法を相手に当てはめるようなこともしない。
 より良いものを探し続ける。

 どんな方法でも良い部分はあって、それが子どもに合えば使っている。
 「イキイキとはりあいのある生活をしてほしい」
 「役に立つ、頼りにされる、感謝される人になってほしい」
 「そこまでじゃなくても、平凡に、穏やかに、一緒に生きていこう」
 「つまらない人生は送ってほしくない」
 と伝える。
 「どういう風になりたいの?」
 「赤ちゃんのまま?お兄ちゃん(お姉ちゃん)になる?」
 「一緒に暮らしたい?入院したい?」
 (このままではロクなことにならないかも知れない、そうなってほしくないと思っている!)
 「子どものまま?大人になりたい?」
 と問う。
 けれど、本当に本当に「これがいい」という場合は、強制しない。
 でも、「これがいい」と言ってしまう前に、一度は経験してほしい。
 経験してから選んでほしい。
 経験自体が不足しているし、何しろ、「今の状態ではなく、言われている状態のほうが良いだろうなぁ」と想像することが難しいからである。

 実体験がどうしても必要なのである。
 そのためには、経験させてあげられるだけの力量がなければいけない。
  自分の親が喜ぶ経験
  周囲の人からほめて認めてもらえる経験
  達成感を感じる経験
  物事に取り組める経験
 そういう実体験をしてもらうのが仕事・支援である。

かくたつ播磨

店主・守本 悠哉(社会福祉士・公認心理師)

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