障害児者支援施設職員研修の一部を抜粋(2)

職員としてどうあるべきか?

【虐待防止研修】

施設職員研修の抜粋(2)

 

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  利用者は担当職員を選べない。
  職員は担当利用者を選べる。
  だから、責任がある。

 

これは、障害者施設職員研修で必ずお伝えする僕の原点の一つです。

 

利用する人が選ぶ時代であるけれど、施設・所属先の担当職員まで選ぶことはできないのではないか。
そもそも施設を利用しないという選択をすることもできる。
就労できるようにし、就労先を探す。
重度の人が企業就労するというのは、現状では相当難しいと思う。
でも、小さい頃からやるべきことをやっておけば、就労できだだろうに…と思わされる人が沢山いることも事実である。
成人支援から入った僕は「もったいないなぁ」と思ってしまう。

 

話を戻す。

障害をもつ人が担当職員を選ぶことは難しい。
職員は、その担当利用者さんの人生を左右する存在である。
だから、その責任をもって支援してほしい。
そういうことをお伝えしています。

 


*****

 


『手をつなぐ』という雑誌の1998.07号。
「あなたはここで暮らせますか?」~入所施設実習レポートを通して見えてくるもの~
という文章があります。

 

記者さんが、施設の部屋の片隅で千羽鶴を折っている女性を出会われます。
近づくと、折っていたのではなく、一度折った鶴を広げていたことに気づきます。
そして、問われます。
どうして、元に戻しているのか、と。
すると、女性は、なかなか新しい紙を買ってもらえないから、と答えます。
さらに、問います。
何のために鶴を折っているのか、と。
答えは…
他にすることないしな…。

 

記者さんは『鳥肌が立ちました』と書かれています。
そして、
『障害者』だからしかたがないのでしょうか?
あなたはここで暮らせますか?
と書かれます。

 

施設でしている仕事(作業)が、この千羽鶴と同じような仕事(作業)になっていないか。
やっては戻すような仕事(作業)になっていないか。
もし、自分の仕事が、自分の子どもの仕事が、こういう仕事(作業)だとしたら、そこに通えますか?

 

『生きがいについて』神谷美恵子
p.55
生命の流れを助けるものといえば、感情の面ではなんといっても前にのべたよろこびであろう。そのよろこびも常にきわだった形をとるとはかぎらず、平凡な川常のなかでの、しずかな、しかし新鮮なよろこびもある。その源泉はいろいろありうるが、なかでも仕事や労働というものがどんなに大きな役割を持っているか知れない。それはすでに多くのひとがくりかえしのべて来たところなので、ここでくわしくいうまでもないであろう。ふつうの健康の持主が、朝おきて、その日、自分のなすべき仕事は何かわからない、というような状況にあるとすれば、それだけでも生存の空虚さに圧倒されるにちがいない。社会生活の上での失業はもちろんのこと、精神生活の上での失業はこの点でなお一層大きな不幸である。

 

『他にすることないしな…』
「仕事がない、作業がない」それは、社会生活上の失業ということだけではなく、精神生活上の失業なのである。

 


*****

 


僕は「障害者だから仕方がない」というのが嫌いです。
十亀ドクターは、
『障害者は守られていかねばなりません。しかし、甘えることは許されません。甘えることは、自分で努力しないということです。
ふつうの人は、生活するのに努力します。ボヤッとしていると家族共々生きていけません。健常者に対し障害者もすべての面で平等ということであれば、障害者ということで甘えることではいけません。
(十亀史郎講演集1『人』8.私たちの目指すべき道ー年長自閉症児の療育を考えるーp.215より引用)
と書かれています。

自閉症だろうと何だろうと、甘えてはいけない部分では甘えてはいけない。
努力して達成感を味わって生きてほしいと思います。
張り合いのある生活を送ってほしい。
そのための、運動、仕事(作業)、お手伝いであると思っています。

 

 

『家族の深淵』中井 久夫(みすず書房)
「R・D・レインの死」p.207
精神医学の指導者がいかに規格化あるいは科学化、通常医学化を目指そうとしても、米国の診断基準DSM-Ⅲや生物学的精神医学を読んで発奮し、精神科医になろうとする者はあまりあるまい。精神科医が人を引きつけるものを失っては、いくら科学的あるいは管理的精神医学をやりたくても人材が集まらないというジレンマがある。

障害児者福祉にも言えることである。

虐待防止においても、支援においても、チェックリストを作って、それを守ることが目的になれば、魅力を失っていく。 

 

 障害児者支援施設職員研修の抜粋(3)


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