障害児者支援施設職員研修の一部を抜粋(1)

支援の目的は何か?

【虐待防止研修】

施設職員研修の一部を抜粋

 

【 「施設自体が時間で動いているため、まだ利用者が食事をしていても掃除をする」 】

 

これについて、どう感じますか?どう思われますか?

自分が食事をしていて、こういうことをされたら、どう思います?
これに似たようなことはないでしょうか?

 

虐待防止のための感性を持ちましょう。

人付き合いより、業務が優先していないでしょうか?
水分補給の時間だからお茶を飲む。
これは業務です。

「歩きに行って、今日は暑かったなぁ、こういうときは冷たいお茶がいいよねぇ」。
これは人付き合い。

僕たちの仕事は業務をこなすことではなく、人付き合いです。


取り組みや業務は目的化します。
それをすること自体が目的になってしまいます。
本当の目的は何なのでしょう。
取り組むのは、一緒に安心して歩きたいから、心の余裕をもって何かを楽しみたいから。


*****


【 「座らせてはいけない?」では、ウロウロし続けるのを容認しますか? 】

 

「座らせられているように見えるのであれば、何もしない方がいい」
それでいいのでしょうか。
座らせてはいけない。
では、ウロウロしてもらってもいいと全部受容しますか?

 

問題行動を受容しようとし続ける、例えば、歩きたいように歩かせる、とします。
受容すると言いながら、どこかそこまでは行ってはいけない(入ってはいけない・出てはいけない)と止めることになります。
それは、受容と言いながら、あるラインを超えるまではやりたいようにさせて、あるラインを超えると禁止する、不自然な付き合いです。後追いのダメ出しの付き合いになります。
そのラインも超えようとしてしまいますから、それは受容できないと言って、個室や鍵、薬ということになってしまいます。

 

確かに、一時的に物理的な策を講じる場合もあります。
でも、人と一緒に過ごせるように取り組む。
それをしないで、虐待防止も突き詰めたら、何もしないのが一番になります。
そうなったら、障害者の方はどうなりますか?
何もしないのが一番なので、あなたの仕事は何もしないことです、となったら、あなたはどうなりますか?
障害をもって、本人たちはどうなりますか?
見て見ぬふりをし続けますか?
そんな仕事がしたいですか?

向き合いはする、けれど、感性をもって、思いをもって、説明できて、リスクを十分に管理する。
自分たちが誇れる仕事をしてほしいです。
どうなってほしいのか?
どういう付き合いをしたいのか?
どういう幸せ感を感じてほしいのか?
そのためには何が必要なのか?


*****


【 「意識しているニーズ」と「意識していないニーズ」 】

 

意識しているニーズは、「してほしい」と言っていること。

意識していないニーズは、本人は知らない、けれど、本人にとって望ましい方向へ変化する可能性を起こせること。


意識されているニーズにだけ応えるのは、そう難しくありません。
その場その場、目の前のことだけを考えれば済みます。
その方が職員は楽なのです。
将来のこと、5年後10年後のことを考えないで、今をやり過ごす方が楽なのです。
考え続けることはシンドイことです。
それは誰にでも言えることです。
もっとも、その瞬間を楽しむことを全て否定するつもりはありません。


楽をしないで、意識されていないニーズに取り組むことが大切です。
意識していないほうのニーズは、後から「あの時、あれに取り組んでおいてよかったね」とわかるものです。
取り組んでいる最中は迷います。
「本当にこれでいいのだろうか」と。
同僚の職員から否定されたり、批判されることもあるかも知れません。
しかし、楽なほうに流されず、「これに取り組むことが、将来の本人のためになるのではないか」と考え続け、推量してやっていかなければなりません。

「自主性」や「自己決定」が迷いや考え続け、実践を続けることの困難さからの逃げ文句に使われていないか、そこを問う必要があります。

 

 →障害児者支援施設職員研修の抜粋(2)

 

 →障害児者支援施設職員研修の抜粋(3) 


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