自閉症の人が与えてくれた宿題 8.「自閉症特有の行動」「自閉症だから」「自閉症らしい」という言葉を使ってしまうことの弊害(2)の補足.2

矛盾

【支援力を高める】

 「自閉症の人がしている行動は、自閉症らしいものであるから、仕方がない」というようになりやすい背景を考える。
 もう一つは、報酬。
 福祉サービス、障害児施設、障害者福祉施設の仕事は、どんどん改善していけば、どんどん報酬が上がるシステムではない。
 報酬は利用者の状態像によって決まる。
 だから、重度のままであったほうが報酬は高い。
 改善して、区分が下がると施設が得る報酬は下がってしまう。
 報酬の構造として、状態像をどんどん良くしていこう、という方向になりにくいのである。
 お金だけがモチベーションではない。
 どんどん良くしていけば、周囲からの評判は良くなる。
 親御さんから感謝されるのは嬉しい。
 状態像が良くなった子どもや利用者さんを見るのも嬉しい。
 役に立っている実感は、モチベーションになる。
 (自閉症の人も同じだから、役に立っている実感が必要)

 しかし、良くなれば良くなるほど、報酬は減っていく。
 経営としても、状態像によって決まる報酬を人件費などにあてているのだから、そのままを維持したくなる。
 だから、状態像をどんどん良くしていこう、という方法になりにくいのである。
 矛盾を感じる。

 障害程度区分の判定調査があった。
 支援してできることが増え、パニックや自傷、他害が減った。
 区分判定は下がった。
 すると、報酬は下がってしまった。
 施設が得るお金は減ってしまった。
 ある親御さんが言われた。
 『学校や施設が改善してくれるものだと思っていました』
 『改善するのが仕事でしょう』
 企業だからというより一般的にはやっぱりそれが普通。
 それで給料を得ている、それで食っているのだから当たり前。
 福祉サービスは普通じゃないように感じる。
 一生懸命で優しい。
 そうなのだけれど、「ありのまま」「その人らしく」「自閉症らしく」でも支援者や施設は困らないシステムなのである。
 逆に良くなった方が経営は困るのである。

 本人はどうだろうか。
 親御さんはどうだろうか。
 良くすれば報酬が増え、悪くなったり、そのままだと報酬が減るシステムにならないだろうか。

 そんな矛盾がありながらも、積極的に「状態像が悪いまんまの方がいいや」としているかと言えば、そうではない施設・そうではない支援者に出会うことの方が多い。
 良くしたいと考えておられる職員さん・施設の応援をしたい。
 職員さんたちが仕事をオモシロくできれば、自閉症の子どもや利用者さんは救われる。
 利用者さんが変われば、職員さんは喜ぶ。
 職員さんが喜べば、利用者さんも喜ぶ。
 児童発達支援施設、放課後デイ、障害者通所施設に通っているけれど、改善を願っておられる親御さんの応援をしたい。
 子どもが変われば、親御さんが喜ぶ。
 親御さんが喜べば、子どもも喜ぶ。

かくたつ播磨

店主・守本 悠哉(社会福祉士・公認心理師)

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*発達障害・自閉症の療育として、身体の発達と運動と算数学習に重点を置き、ご本人が成功体験を積みながら、衝動をコントロールし、ご家族と一緒に暮らせるように支援しています。

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