『十亀史郎講演集Ⅰ「人」』より(1)

運動で対人関係が良くなっていく

【身体像(ボディイメージ)をどう形成していくか、空間と身体との関係をどう把握してゆくかということ】

『十亀史郎講演集Ⅰ「人」』より

 

p.119

運動の基本的動作をやらせます。一つの姿勢をとらせるとか、からだ全体を使って一つのことを完成させるなど。(略)これは何を目標にしているかといいますと、身体像(ボディイメージ)をどう形成していくか、空間と身体との関係をどう把握してゆくかということです。

 

p.134~

よく自閉症の子どもたちに運動を十分にさせると非常によい効果があるといわれますが、私も全く同感です。縄とびや水泳など訓練してできるようになりますと対人関係が大きく進歩していくことが見られますが、これは統合能力が発達するからです。これは大いにやって頂きたいことですが、それらの運動はいずれも筋肉の力を入れた運動です。さらに重要なことは、こんどは力を抜いた状況で身体を自由にコントロールできるようにすることです。これが非常にむずかしい。さきばども申しましたように、いつも指先に力を入れていたりして、力を抜いて手首から先をぶらぶらさせることがなかなかできない子どもがいます。

(略)

力を入れないで身体をコントロールする動きということになりますと、茶道のお点前であるとか、戸の開け閉めであるとか、これは力の入れようがありません。しかも不器用なことをやっていますと、肩の力を抜けとか、姿勢が悪いとか何かと注意されるということで、やらせてみましたところ、おもしろいことに随分変ってまいりました。どう変ったかと申しますと、それまでは例えば食事の時がちゃんと茶わんを食卓に置くとか、また、これは自閉症の子どもがよくやることですが、茶わんを顔にうんと近づけて持つとかしていたのが、食器の扱い方や食べ方、それから戸の開け閉めといった動作がたいへんよくなりまして両親も喜んでいました。

(略)

そういう思いもかけない形で変化が見られてきたということは、(略)力を抜いた状態で自由な姿勢をとれるようになったことと無関係ではないでしょう。そこで、十分に力を入れた運動をさせることの次の課題として、力を抜いた姿勢や動作をどのようにマスターさせていくかという問題になると思います。そしてこれは、あくまでも身体図式の問題として重要なわけです。 


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